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抑止論

床屋で集めた庶民の議論です。

最近TVでは、
普天間海兵隊は、アフガンに派遣される外征軍であり、
我が国防衛のための部隊では無く、
従って、わが国のための抑止力ではない、
と言う半世紀も昔に遡行したような議論が行われています。
その頃、「包丁は魚を捌くが、人も殺す」と言う、
極めて分かりやすい比喩で防衛力が説明されていました。
つまり、防衛か侵略かは、使用する人の意図にのみ拠る訳です。

そして、軍事力とは、陸、海、空三兵力の総合力であり、
何れが欠けても完結した機能にはならないと、
世界中で軍事力を持っている国々は考えています。
海兵隊は、陸上兵力です。
海兵隊だけが侵攻兵力だからと言うのは、理解できません。
海空軍も、同じです。

そして、在日米軍自体、国会討論の論理を借用すれば、
我が国防衛戦略上の位置づけとして、
我が国が殆ど保有していない策源地攻撃能力を、
我が国自身が米軍に期待して、配備されたものです。
だからと云って、防衛力として機能しない訳ではありませんがーーー。
ともあれ、海兵隊が侵攻兵力故、我に不要と言うなら、
海空軍も同じく不要という理屈です。

そして、抑止力とは、
何故か世界中に氾濫してしまった軍事力が、
自国に対して使用されないように、
軍事力を保有し、それを行使し得る権限を持つ人間の意図を抑制することです。
(ケネディ、フルシチョフ危機以降は、広く危機管理の範疇にあると考えます。)
ものの本によれば、抑止(危機管理)とは、懲罰的抑止とか褒賞的抑止とかがあるそうです。
要するに、アメとムチでライオンを手なずけると言う訳でしょう。

その効果は?
福島さんでも鳥越さんや落合おばさんでも無く、
ライオン自身が効果があると思っている間は、有効であると言う次第です。
実は、抑止論のポイント(限界と言うべきでしょうか?)はここにあります。
即ち、我も、また、ライオンも理性的に行動することーーー。
つまり、抑止論は破綻する現実もあります。
だから抑止力が不要と言うのは幼児的短絡と言うことは理解できるでしょう。

どこぞの政党やら、知的思考の出来ない自称知識人は、TVに出てきて、
「だから外交だ。」とのたまいます。
この方々は、外交とは、如何なる手段で行われる人間の行為とお考えなのでしょうか?
「話し合い」と言われます。
例えば、とても真っ当な話ができない、北朝鮮に、何を話しかけるのでしょう?
お金を差し上げる?
言う事を聞かなければ、経済制裁をするぞと脅す?
その昔、経済的封鎖は即戦争に連結しました。
経済も武力同様、耐え難い苦痛を与える力でもあるのです。

話し合いも、詰まる所、鞭を片手の抑止論そのものなのです。
武力を背景にした抑止力も、外交の1手段なのです。
クラウゼウィッツによれば、「戦争も外交」と言う訳です。

さて、最終的鞭の機能として、最強の力を持つ米国の意志が、
ライオンに対して効果的である事は異論の無い所でしょう。
米国の意志はどのように明示されるか?
米国自身が宣言する事は無論ですが、
その上、わが国土に、米軍を常在させるほど強い意思表示は無いでしょう。
欧米には、米軍 人質論もあるそうです。

我が抑止力はどの程度であるべきか?
その昔、クラウゼヴィツと言う人が示唆した原理があります。
簡単に言うと「多々ますます弁ず」と云う事の様ですが、
限度はありましょう、それは、軍事運用のプロの情勢判断に任すべきと思います。
そこから離れて、感情政治的に、海兵隊だけ値切ったりすることが、
ライオンに誤解をさせることにもなると思うからです。
海自艦艇が某国のヘリの恫喝を受けたり、
我が排他的水域から、海保庁の海洋調査船が追い出されたりといった最近の情勢は、
その証しでは無いとも言えないと思うのです。

また、
竹島は何故韓国に占拠されているのか? とか、
尖閣のために米海兵隊は出動するのか? 等と言いつつ、
米海兵隊に限定した抑止効果を否定する論もあるようですネ。

日本防衛の為に米は自ら戦を決意する情勢にあるか?
それが答えでしょう。
米国がそう決心したら、たちどころに米海兵隊は出撃する筈です。
ライオンはそう考えるでしょうネ。

然るが故に
鳩山総理は(国外、少なくとも県外)と言われますが、
抑止力の観点からは、
少なくとも、国外と県外では、月とスッポン程の差だと思う訳です。

ところで、アフガン、アフガンと他人事の様ですが、
米国のみならず、アフガンで諸国が戦っていますが、その脅威は何でしょう?
その脅威は我が国に無縁でしょうか?
9,11では、わが国民も二十余名殺されました。
つい先頃まで、わが国も、インド洋で、この作戦に参加していました。

繰り返します。
普天間を国外少なくとも県外という議論は、
いずれ、米軍駐留の必要性と言う大きな問題に誘導されるでしょう。
それは、米軍に補完されているわが防衛力如何?という問題でもあります。
そしてその事を忌避する「ソ連軍白旗出迎え」の絶対平和主義と言う、
主権を放棄した敗北主義も彷徨い出るかも知れません。

民主党政権誕生は、半世紀昔の亡霊を蘇らせつつあるのかも知れません

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コメント

nakamichiさん、君をアップしたのは晒し首の為です。
お教え下さるなら、反論したい文章くらいチャント理解したうえで頼みますネ!

投稿: 剣山 | 2021年4月15日 (木曜日) 17時30分

頭の悪い人にいくつか教えてあげましょう。私の善意からです。

1自国軍か平和主義の2者択一しかな いという、半世紀前の頭のようですが、2010年の今は違います。日米安保であり、集団安全保障が、最も効果的な防衛手段だと考えられています。

あなたは何も考えず学ばず、ただ1930年代のように自国軍にしろと、
まさに古~い思想を自分のブログで垂れ流しているが、秦から見て本当に見苦しいです。

2日本国憲法を読みなさい。そこになんと書いてあるか?「国際紛争は外交で解決する」と(暗黙に)かいて書いてあります。そして日本はそれを半世紀やってきた。また少なくともアメリカも含め先進国同士の間ではそれは守られてきました。

あなたは頭が悪いので「外交で国を守る」を理解できないのでしょう。
それは開く言えば、戦争できない関係にすることです、相手国にとって日本と戦争をすると、その相手国にとって、戦争をする事で利益よりも損失の方が大きくなる状態にすることです。

今、中国との関係がそうなっています。

わかりましたか?もしわからないならコメントください、答えられる範囲で説明しましょう。

投稿: nakamichi | 2010年5月30日 (日曜日) 13時34分

こんにちわ半世紀も前から抑止力に注目していたようですね。

しかしそれはあなたの妄想・思い込みでしょう。抑止力などという考え方が前面に出てきたのはあからさまな戦争が回避されるようになった、冷戦期以降だからです。

あなたの頭は相当悪いようですね。

投稿: nakamichi | 2010年5月30日 (日曜日) 13時26分

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